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しょーしきのしょーじきしんどい。
少色適当なことを適当に書きます。
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七夕掌編ver2012
 タイトルコールはこくじんさんのスト4AEver2012の公式ナレーションで各自脳内変換してください。
 追記を読むからどうぞ。
 できたら読む前に去年と一昨年の七夕掌編を見て貰えるとより楽しめるかと思います。

 2010→この美しい世界は七夕色であるか?
 2011→笹と傘



 七夕掌編2012

 (1/3)四年後の姿
「ただいま帰りました。って、電気ぐらいつけてください」
 窓を全開にして夜の風にあたっていると、部屋の鍵が開いて彼女が帰ってきた。
「おかえり。いや、涼しいと思って」
 俺は玄関の方に目を向けて、彼女の姿を見る。俺が去年まで通っていた、制服の夏服姿だ。以前は毎日のように見ていた姿だが、今年になってからはゴールデンウィーク以来だろうか。
「やっぱり、東京は暑いですね」
「うん。今日も真夏日だったみたいだ」
 誰かと一緒に過ごす七夕も四年目になる。今年はさすがに母校の七夕祭には行けないが、一緒にいる相手は、今年も同じだ。
 彼女は鞄をテーブルの上に置くと、もう一つの椅子を持ってきて俺の隣に座った。
「どうだった?」
 彼女が背もたれに体を預けるのを見ながらそう聞いた。今日は俺の大学のAO入試の日で、彼女はそのために東京にきたのだ。
「結構いい感じだったと思います」
 そういいながら、彼女は頭を俺の肩に乗せてきた。昔から疲れているときはよくこれをする。
「お疲れさま」
 俺もいつもしていたように彼女の頭を撫でる。六月は三連休がどこにもないので、彼女に触れるのも久しぶりだ。髪の手触りを楽しんでいると、目がゆっくりと閉じられていった。
「きっと大丈夫です。短冊、書いてきましたから」
 目を閉じたまま、彼女がそういった。まさか。
「うちの大学で?」
「はい。せっかくだったので」
 うちの大学も、母校のように毎年七夕になると笹飾りがホールに置かれる。AO入試を受けた高校生が願い事を書けるようにという趣向らしい。
「先輩が書いたの、見つけましたよ」
 やっぱり、見つかったか。何せあのときと同じことをそのまま書いたのだから、気づかれてもおかしくはない。
「私も同じこと書いてきましたよ」
「同じって、あのときと同じ?」
「はい」
 ということは、名前も書いてあるに違いない。俺も名前を書いてはいたが、まさか、そこまでするとは。
「来年からもよろしくお願いします、先輩」

 (2/3)二年後の姿
 学校の帰り道、センパイとの待ち合わせのためにスタバへと足を向けた。冷房が効いた店内は、外の蒸し暑さを忘れさせてくれるようだった。
 注文をしているうちに、同じ制服の子が三人いることに気づいた。普段は一人できても全然気にならないけれど、関係あるかもしれない人だと思うと、ちょっと気まずいかも。とはいえ、あまり空いている訳でもなかったので、その子たちがいる席の近くに座らざるを得なかった。
 席を取ったのはよかったけれど、よく周りを見ると、入り口に背を向けるような位置取りになっていて、センパイが入ってきてもすぐに分からないことに気づいた。反対に、同じ制服の子たちがいる席は入り口を向いていて、誰かが入ってきてもすぐに移動できるようだった。……なんか負けた感じ。
「……あれってうちの制服じゃね?」
「そんなの見りゃ分かるじゃん。つーかスカート長くね?」
「一人とかキモ」
 聞こえてますよ、口に出しそうになったのをこらえてストローをくわえる。べっつに、ぜんぜんさみしくないし。あとから先輩きてくれるし。わたし、一人でスタバよくくるし。
「そういやこの前ケースケとゲーセン行ったときにさあ、音ゲー? それずっと一人でやってる奴いてマジウケたんだけど。超必死な動きしてんの」
「それで心折れないのがすごくね?」
「そもそもそういうゲームしてる時点でキモいっていう」
 私が知らないふりをしていると、今度は大きい声でその子たちが話し始めた。店の中には、わたしたち以外にもパソコンで作業している人とか、集まって世間話をしているお婆さんたちとかもいる。いくら私に嫌味いいたいからって、そんなことしてたら周りに迷惑だと思うけど。
「つーか、最近ケースケとどうなん?」
「どうって、別に普通だけど?」
「普通ってか、最近ユータともなんか仲いいじゃん」
 あ、普通の会話始まった。これでわたしの方から離れてくれるかも。
「はあああああああああ? 年上とかキモいからマジありえねえから」
 コーヒーを吹き出しそうになった。
「あいつら金持ってるからってマジうぜーじゃん。子ども扱いしてきてムカつくし」
「あーあるわー」
「舐めんなって感じ」
 あの子達が私の先輩のことを知ってるはずはないけれど、なんでそんなに狙いすましたかのような話が出てくるんだろう。再びストローを口にくわえたところで、マナーモードの携帯が振動した。背面のディスプレイを見ると、センパイからのメール。心細くて仕方ないので急いで開く。
『悪いんだがちょっと送れそうだ』
 ちょっと!!
 遅れるってどれくらい!?
 それまでこの子達の会話聞いてないと駄目なの!?
 大声を出しそうになるのを必死にこらえる。なんとか呼吸を整えて、どういうことなのかメールを返そうとしたところで、テーブルに静かな音とともにカップが置かれた。
「すまん。冗談だ」
 顔を上げると、スーツ姿のセンパイがいた。
「心臓に悪いですよぉ……」
 そう唸って、テーブルに突っ伏してしまう。センパイは慌てた様子でカップをよけた。
「昔っからほんと反応面白いよなあ」
「わたしで遊ばないでください!」
 私が起き上がりながら抗議すると、センパイは笑いながらカップを口に運んだ。私が頼んだのよりも一回り大きいサイズ。
「それがいいところなんだって」
「あ、う、はい」
 これだ。このセンパイ、こういうところがずるい。それで納得しちゃうわたしもわたしだけど。
 ふと気になって、三人組のほうに目を向けると、目を丸くしてこっちを見ていた。へーんだ、ざまみろ。
「……知り合いか何かか? あの三人組」
「え? あ、いやそういうわけじゃ」
 変な方向を向いていたのに気づかれたのか先輩が、目だけを三人組に向けてわたしに聞いてきた。確かに、同じ制服だし、そう思うのが自然かもしれない。
「さっきまで、一人でスタバ来るとかありえないとか年上とか無理とかいってただけですよ」
 そう思われるのも癪なので、正直に教えてあげた。若干オーバーなところもあったかもしれないけど、それくらいはいいよね。
「ふーん。かわいそうな奴らだな」
 センパイのほうもばっさりと切り捨てるようなコメント。さすがです。すっきりしました。
「世間一般ではそうなのかもしれんが、俺らはそんなことないし、それじゃ駄目だと思わされてるんだったら、かなりかわいそうだろう」
 と、思ったら、あの子たちに同情的な声が後から出てきた。
「……そういうところ、優しいですよね、センパイって」
「そうかもなあ」
 不満のつもりで言ったのに、センパイはあっさりと認めてしまった。以外に思っていると、少し考えるような表情をしてから続けた。
「そうじゃないと、俺らみたいなのって、相当変じゃないか」
 ……確かに。二年前に、そして小学校の頃に。そして今、こうして二人でいられるのなんて、普通に考えたらあり得ないことなのだろう。あり得ないなんてことは、ないのに。
「運命、ですもんね」
「すでにある言葉を当てはめるなら、運命かもな」
 だからね、そこの子たち。運命みたいなことって、ないわけじゃないんだよ。

 (3/3)功労者たち
 高校生にもなって七夕祭なんていかなくてもいいだろうと思っていたところだったので、店番を喜んで受け入れて、レジに座って読書をしていた。時計は十九時を過ぎたところで、七夕祭は今が一番混む時間のはずだ。行こうとは思わなくてもなんとなくどんな様子なのか気になってしまうのは、生まれてから十七年この地に住んでいることにより身についた習性なのだろう。断言してもいい。
 そろそろ時間も時間だし、七夕祭から抜け出して酒でも買いに来るつがいの連中が増えることだろう。未成年に見えれば年齢を確認、もし関係が怪しかったら人相を記録しろ、という親父からの言伝がある。別に酒屋に酒買いに来るのに関係の怪しさもクソもないとは思うが、親父はそういうのが嫌いらしい。それならそれで家を空けずに自分で店番をしろという話だが。
 新しく本のページをめくったところで、自動ドアが開いて男が一人入ってきた。見た目は若いが、髪は脱色されている。断言はできないが、こんな田舎であんな高校生はいないだろうし、まず成人済みだろう。
「らっしゃいませー」
 適当に挨拶をしておいて、本の続きを読む。親父の頃から愛想の悪い酒屋といわれ続けているが、俺がそれを改める気はない。
 それにしても、七夕祭をやってる時間に男一人で酒屋に来るというのも寂しい話だ。
 彼はビールの六本入りのパックと地酒を一本持ってレジに来た。五千円札を受け取り、お釣りを返す。
「すいません、領収書貰えますか。上様でいいんで」
「あ、はい」
 酒屋という仕事柄こういうことはよくある。レジの下の台から領収書を取り出し、ボールペンで記入して、破って渡す。そして何故か、受け取った相手の動きが止まった。
「……あの、何か間違いましたか?」
 まだ酒代も貰っていない。そこで固まられても困る。
「いえ……。ひょっとしてなんですが、七夕祭で『みんながここにある願いを十年後も覚えていますように』みたいなこと書いてませんでした?」
 ――な、なな。何故そんなことを。
「間違っていたらすいません、字がよく似てたもので」
 よく分かるなそんなこと。こいつは只者じゃない。断言してもいい。
「書き、ました、けど……」
 顔をひきつらせながらそう答える。確かに二年前の七夕祭で『全員がここにある願いを十年後も覚えていますように』と短冊に書いたのはこの俺だ。何でこの人が知っている。同じ中学校の卒業生か何かか?
「ああ、やっぱりそうでしたか。僕、七夕祭実行委員会やってて、毎年短冊見てたから誰の字かすぐ分かるんですよ。確か二個下でしたよね」
 それだけで人の字がすぐ分かるようになってたまるか。
「二年前ってことは、『運命の人とまた会えますように』の人と同じ年ってことですよね? あれを書いた彼女、その後どうなったか知ってます?」
「知りません」
 というか、あの短冊を書いた奴の顔を俺は知らない。高校だって別になったはずだし、興味もない。
「そうか、それは残念だ」
 彼は溜息とともにそういうと、酒が入った袋を持ちあげた。
「じゃあ、君のために一つ教えてあげよう。君が一年生だった時の二つの短冊、覚えてるかな。あの二枚の短冊を並べて吊るしたのは実は僕なんだ」
「それは、まあ知ってますが」
 俺が一年生の時ということは、『この世界の美しさが、ほんの少しでも、わたしの物になりますように』『世界の美しさを知らない者が、一人でも減るように』の二枚の短冊のことだろう。俺の前後の学年で、あれを知らない人間はほとんどいないだろう。というか、この人が陰でそんなことをしたせいであの短冊がやけに目立つことになったのか。
「あれを書いた二人は、今でも一緒にいるらしいよ」
「は」
 言葉を失った。 
 あれから四年だ。あんなこっ恥ずかしい短冊を書いて、そして四年、同じ男女がずっと一緒にいるだと? 普通ならあり得ない。断言してもいい。
「六年後も、多分一緒だと思うよ」
 こいつ。俺への当てつけか。
「だから、もう片方の残り八年も、気になるんだよね」
 最後にそう言い残すと、彼は店から出て行った。俺は一瞬固まっていたが、すぐに後を追って外に飛び出した。
「おい!」
 彼はまだ反対側の道路に渡っただけだった。俺の声に気付いたのか、笑ったような表情でこちらに振り向く。
「あんたは、信じてるのか、あんなのを、子どもが書いたものを!」
 思わず怒鳴っていた。近所一帯に俺の声が響いているかもしれなかったが、叫ばずにはいられなかった。
「信じてるというか、少なくとも、そっちのほうがと思ってるよ」
 男の声がはっきりと聞こえた。道路を挟んでいるというのに、車が通る気配はしなかった。
「そっちの方がいいと思う人間が増えたら、そっちが正しいことになるんじゃないかな」
「それは……」
 間違いない。それが、今ある常識って奴だ。
「君だって、それが望みで、あれを書いたんじゃないの?」
 反論できない。もしそうでないなら、あの時俺は、周りの連中に合わせて、もっとありふれた、少なくともこの男に見つけられるないようなことを書いたのだろう。
「それじゃ。また来ると思うから、彼女のことで何かあったら教えてよ」
 今度こそ、彼は俺に背を向けて去っていった。
 完全に俺の負けだった。
「おーい、いつもの日本酒あるかー?」
 呆然と立ち尽くしていると、毛むくじゃらの犬をリードにつないだおっさんが横から声をかけてきた。確か常連の、いつも同じ酒を買っていく、名前は、何だったか忘れた。
「あ、はい、あります。あの、犬は外につないで貰えますか」
「おう、出しといてくれ」
 おっさんが外の電柱にリードをまきつけるのを横目で見ながら、俺は店の中に戻った。
 店番が終わったら、とりあえず卒業アルバムでも出すか、とか考えながら。
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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