プロフィール

少色

Author:少色
     syousiki
     

一応アドレス
sanzikaro☆
mail.goo.ne.jp

☆を@に変えて、上下を連結のこと。

Twitter始めました

ブログを更新するのが面倒だから

こうしています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

FC2ブログランキング

FC2 Blog Ranking

しょーしきのしょーじきしんどい。
少色適当なことを適当に書きます。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

厳格的殺人鬼社会「春夏秋冬」常夏編
 深夜の繁華街。
 雑多な人種の群れの中を、一台のパトカーが赤色灯を回りながら進んでいく。すんでのところで誰にもぶつからずに進んでいるが、よっぽど緊急らしく、かなりの危険運転といえた。運転席には、紺の制服に身を包んだ若い警官。後部座席の人物に気をかけながら、サイレンを鳴らすかどうかを迷っているようだ。
 後部座席に乗るのは、一人の女だ。一見しても警官ではない。今が夏場であることを考慮しても、パトカーにストライプのチューブトップ、タイトジーンズ、きつめの赤色にしたポニーテイルという組み合わせは釣りあわない。
「常夏さん」
 運転席の警官が、後部座席の女に声をかけた。女は特に返事をせず、目を動かすだけでそれに答えた。
「後十分ほどでつきますけど、すぐ行けますか」
「トーゼン。余裕」
 愚問とばかりに女がいうと、男は肩を小さくして、その代わりにスピードを上げた。
 ◆
 事件は街の中心部に位置するヘルスで起きていた。一人の男がヘルス内の人間を人質にとり、現金三億円と国外へ逃げることを要求していた。男は何故か軍用銃であるH&KのMP5と青竜刀のような大剣を所持しており、すでに多数の死者が出ているとのこと。警察はこれを異常事態と認識し、警察専属の殺人鬼である無常常夏に解決を依頼。今から一時間半前、十時五十分のことである。
 ◆
 常夏が現場につくと、周囲は深夜だというのに人で溢れかえっていた。人間の汚い部分を目の端に捉えながら、常夏はパトカーのトランクを開けた。そこに積まれているのは、冗談のようなサイズのククリ――ひらがなの「く」の字の形をしたナイフだ。常夏の上半身くらいの大きさはゆうにある。
 常夏は鞘からナイフを抜くと、それを肩に担いで人の群れへ割り込んでいく。人々はその横柄な態度に一時皺を寄せたが、その巨大なナイフを見て、すぐに恐れをなして道を開けていく。殺人鬼という存在に関わりたいと思う人間はそうそう居ない、常夏への視線は冷たい。軽蔑というよりは、恐怖や畏怖の視線だった。
 黄色のテープを潜り抜け、ヘルスの最上階を見上げる。精々四階程度だろうか。低いビルを改造して使っているらしい。
「お疲れ様です」
 常夏の到着に気づいた一部の警察官が、常夏に向かって敬礼する。そこに媚を売るような態度はなかった。あれば、常夏がその場で頭を割っていたところだ。常夏はそれにもさほど反応せずに、わずかにククリを傾けただけだった。
「相手はどこ?」
 ククリを地面に突き立てつつ、常夏が利いた。
「現在は最上階に居ると思われます。階段は入って一番奥です。一応は、人質の保護と犯人の確保が最優先するよう指示が出ていますが……」
「ムリ」
 そうですよね、と警官は半ばあきらめ気味に嘆息すると、周囲の人間に道を開けるよう指示した。常夏はククリを引っ担ぐと、真っ直ぐヘルスへと入っていった。
 ◆       ◆
ヘルスの中はブレーカーが落とされているらしく、薄暗かった。外から警察が入れる光が窓から店内を照らす。常夏はククリの刃のない部分を肩に担いでいる。外気に反して冷え切った刀身が心地よい。
 相手は素人だ、と常夏は判断する。少なくとも、自分と同じような『殺人鬼』ではない。素人ならこちらがダメージを負うことはまずないと思っていいだろう。もっとも、相手がなんだろうと関係はない――そう思った矢先。
「うひゃああああああああっははっははあああ」
 前方の闇から、奇声とともに迫る影。一瞬見えた人影の手元で鋭い光。常夏はククリを薙ぎ払いながら大きく一歩後退。明らかな奇襲だった。だが、直前まで殺気を感じなかったところから、向こうは殺人鬼ではないものの、そこそこ優秀な「人殺し」であることはわかった。
 ――無論、相手が殺人鬼なら殺気など一つも感じないだろう。
「殺人鬼の……姉ちゃんよォォォォォォォ」
 闇から聞こえてくる声。明らかなゲス男の声だった。常夏は耳を澄まして相手との正確な距離を測りつつ、相手の言葉に耳を傾ける。
「殺人鬼のクセして人間なんかの見方しちゃってさああああ~恥ずかしくないの?」
「何で?」
 相手の問いに、常夏は素で聞き返した。テストなら零点だ。
「私は別に、人間の味方をしてるわけじゃない。私はあんな奴らに頼まれなくても人は殺すし、むしろ人を殺す数は増えてるけど。警察関係者も大勢死んでる。何かおかしい?」
「……」
 相手が黙り込んだのを見て、常夏が動いた。ククリを振りかぶり、相手の男へ向けて突進する。向こうが回避する間を与えずに振り下ろす。重さのあるククリは薙ぎ払いには向かないが、振り下ろしならば殊更の破壊力を発揮する。
 戦斧のごとき一撃は、男の左腕を肩から切断、左脚の側面を削り下ろしながらヘルスの廊下まで削る。
 腕一本を代償に、男が常夏の懐に入り込んでくる。男は常夏の足元まで体を沈みこませると、一瞬で股から喉まで切り上げてくる。常夏はククリを引き寄せ柄の部分で防ぎ、そのままの流れでククリを垂直方向の軌道に変化、一息に男の頭部に刃をめり込ませる。
「く」の字の刃は頭部を粉砕、脳を真っ二つにしながら突き進み、背骨に沿って真っ二つに切り下ろす。ククリはそのままコンクリートの床に叩きつけられ、大小の瓦礫を巻き上げて男の死体に降りかける。床に血と埃の斑模様が残った。
「……」
 常夏は男の死体を見下ろした。なんて弱い。勝手に騒いでおきながら、それでいてあっさり死んでしまう。
「死ねてよかったね」
 常夏は男に優しく声をかけ、二階へと登っていった。 
 ◆       ◆
  二階は一階に比べ、警察が入れる光が明るかった。犯人が三階にいるという情報を考えれば、二階当たりから照らしておくのが当然なのかもしれない。常夏が階段に足をかけたところで、廊下に面した一室の扉が開いた。常夏は咄嗟にククリを構えるが、すぐに殺気も何もないことに気づく。
 部屋から飛び出してきたのは、半裸の女だった。ずっと隠れていたのか、目に涙を浮かべがらこちらへ向かってくる。常夏が警戒を解いてククリを下ろそうとした直後、
「し、死ぃにたくないいいひいいいぃぃっ!」
 女の目が絶叫とともに見開かれ、常夏はククリよりも早く、拳を女の腹に叩き込む。女の体がきりもみに回転しながら後ろの廊下へと吹き飛ばされる。廊下の奥の闇に消えたところで、爆発。女の肉片と血が常夏のもとへ飛来する。常夏はようやく自分が油断していたことに気づいた。今まで隠れていた人間が、どうして警察でもない人間の前にのこのことあらわれるのか。どう考えても罠だった。
「ひゃああああ」
「ひいいいいい」
「ああああああ」
 三つの声と三つの影。今のと同じ人間爆弾の三人か。爆発の一瞬前に、常夏は正面の金髪の頭に組み付き、半回転で首を折る。金髪の背を蹴って距離をとり、空中で一回転して二人目の色黒の女の頭を割る。着地と同時にククリを水平に旋回させ、最後尾にいた色黒茶髪の女の首を刎ねる。色黒茶髪の脇をすり抜けて転がった直後、三人がほぼ同じタイミングで爆砕、常夏の背中にたっぷりと血と肉片が降りかかる。びちゃびちゃという音とともに、三つの命がただの肉塊になっていく。
 人が人として死ねるのは、人の形を持って死んだときだけだ。この有様では、人は人と呼べない。
 常夏は油断しながら、憤りを覚えていた。人間が人間の命をもて遊ぶ行為。殺人鬼であるが故の感情だった。
 三階へと上がろうと、階段に足をかけた。
 ◆       ◆
  常夏が三階に上がると、すぐそこにマシンガンを抱えた男が立っていた。男の顔は軍人然とした引き締まった表情で、常夏を待ち構えていた。
「警察の殺人鬼と聞いている」
 男が口を開いた。重みのある、気が引き締まりそうな声音だった。
「俺は瀬川康一。お前と、勝負がしたい」
 康一と名乗った男はマシンガン――H&KMP5を常夏に向けた。暗がりでよく見えないが、背中には常夏のククリと同等のサイズはあろうかという刃物があった。
「私は無常常夏。いいよ別に、殺したげる」
 請負は易い。おそらく、向こうもわかっているはずだ――――
 勝負には、ならないと。
「――っふ!」
 先手は常夏が取った。肩口に構えたククリを真一文字に康一の頭頂へ向け振り下ろす。康一はそれを後ろに身を引くことで回避、マシンガンを応射、数発が常夏の脚を捕らえる。一瞬バランスを崩すが、即座に持ち直し、ククリを噴水のような勢いで振り上げる。康一はそれを体を逸らしつつ後退して回避、そこから変化した横薙ぎの剣閃も身を屈めて回避した。
 常夏が追撃しようとしたところで、康一の撃った銃弾が顔面を削り取っていく。脳の一部が吹き飛んだが、殺人鬼である常夏にとっては大した問題ではない。康一が驚くのも構わず前進し、ククリを振るい、康一の手の中のマシンガンを両断する。康一は驚愕しつつも、背の刃物に手を伸ばした。常夏もそれを許すほどではない、即座に刃を返し、「く」の字刃の内側に巻き込むように康一に切りかかる。康一がしゃがみこんで回避しようとするが、すかさず太刀筋を変化させ、斜めの切り下ろしに変化させる。ククリの刃が、康一の肩へと吸い込まれる。そのままククリは康一の体を両断――――しなかった。
 ククリが康一の体を輪切りにする直前、常夏と康一の、外に面した壁が吹き飛んだ。外から何か打ち込まれた、と判じるのとほぼ同時に、常夏の意識が跳んだ。
 ◆
「……続けていけ!」
 常夏が突入したビルの外で、桐原の指示がとぶ。桐原の指示に従い、戸惑いつつも、周囲の警官が催涙弾や音響弾を投げ込んでいく。
 桐原は必死だった。いかに人間に協力しているとはいえ、相手は殺人鬼なのだ。いつどこでこちらに刃を向けるかわかったものではない。早めに手を切るべきだと何度も上に掛け合ったが、上はまるで聞こうとしない。もしここで無常常夏を殺しそこなえば、自分は班長としての立場を追われるばかりか、殺人鬼自身からも報復を受けるだろう。そんなことになれば、命はない。なんとしても、無常常夏を殺さなければいけないのだ。殺してしまえば、後はどうとでもなる。
「一班から順に突入しろ、犯人の確保より、殺人鬼の始末を優先だ!」
 ◆
「う……」
 常夏が身を起こすと、辺りは瓦礫の山だった。部屋が二、三大穴を空けてつながっており、一つの巨大な部屋となって、外にその内部を晒していた。
 外から何か撃ってきた――おそらくは、テロリスト仲間ではなく、警察関係者からの攻撃だと察しがつく。この状況は、自分を狙うのに絶好の機会だ。もし自分を疎んじている者がいるなら、このタイミングはある意味完璧だ。
 常夏は奥の部屋に転がっていたククリを拾い上げた。表面の傷は増えているが、使用には問題ないだろう。さっきまで戦っていた男は、今ので多分死んだだろう。殺人鬼ならば大丈夫だろうが、まさか普通の人間が今のような奇襲攻撃を受けて生きているはずがない。常夏は上の階への階段を探す。今回の件はこれで手仕舞いだ。とりあえず、上にいる人間を皆殺しにして帰ろう。
 階段は瓦礫が邪魔して道が半ば閉ざされていた。ククリの峰の部分で大きな欠片を払い、何とか隙間を作り、その中に潜り込む。暗いものの、奥には階段が残っていた。人質とやらは、この先にいるのだろう。
 階段の先の、鉄製の扉を開ける。扉の先には、裸の女、服を着た女、服を着た男――おそらく、ここの従業員たちだろう。テロリストたちにここに集められていたということか。
「さ……殺人鬼?」
 暗がりの中から、誰かが一言呟いた。誰でもわかる。このような場に、ククリを持って入ってくるなど、殺人鬼以外にいない。
 殺人鬼、と聞いて、即座に、部屋中に恐怖と怯えが広がっていく。ただ、誰も動かない。テロリストに続いて殺人鬼なのだから、動けないのも、十分わかる。
 常夏はククリを肩に掲げる。部屋中の視線が、常夏の武器へと注がれる。
 部屋の外からは足音が聞こえてくる。テロリストがわざわざ殺人鬼にかかってくるとは思えない。来るとしたら、常夏を始末しようという、警察の人間だろう。ならば、やることは一つしかない。殺すだけ。
 常夏のククリが振り下ろされる。袈裟に振り下ろされたくの字の刃は、目の前の全裸の女二人の首を刎ねた。首が驚いたような表情のまま転がり、間を開けず首から血があふれる。
「ひ……っ!」
「動くな」
 上がりそうになった悲鳴を、一声で抑えさせる。足音は、ますます迫ってくる。
「ここでじっとしてて」
 それだけいって、常夏は部屋を出る。階段を上る音が聞こえてくる。銃を持っている気配は間違いない。
 常夏は扉を乱暴に閉めると、ククリを肩口に構えなおした。
常夏編――了
スポンサーサイト

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://syousiki.blog53.fc2.com/tb.php/959-df6b1cea
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。