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厳格的殺人鬼社会「殺人鬼兄妹」②
執筆時期:2006年頃
①はこちら
[READ MORE]からどうぞ。




朝の日差しと小鳥のさえずりで眞也は目覚めた。時計の針は六時半をさしている。丁度いい、これくらいならまだ町が動き出すまで時間がある。水頃市は、目覚めが遅く、終わりが遅い町である。市内にあるほとんどの店は夜にならなければ動き始めないし、そのような店を利用する人間も夜にしかいない。昼間に動いているのは、数少ない一般企業や二十四時間営業のコンビニ程度のものだ。
 薄紫のパジャマから街歩き用の服に着替えると、キッチンへ赴き朝食の用意を始める。
 榊眞也と榊眞子は現在この水頃市で二人暮らしをしている。なので、朝食といってもさほどなにか準備をするわけでもない。定職のない中学生の兄と小学生の妹には、いつだって自由になる金銭はないのだ。
「お兄ちゃん……おはよう」
「おはよう、眞子」
 眞也が冷蔵庫から野菜ジュースを出したところで、眞子が起きだしてきた。服は着替えているが、寝相が悪いのかそちらこちらからアホ毛が飛び出している。目を細めてその姿を見た眞也は、焼きあがったトーストを皿に載せ、冷蔵庫からマーマレードを取り出して眞子の前に置き、自分の分は何も用意せずに食卓につく。
「髪、凄いことになってるぞ。直してこいよ」
「うん……お兄ちゃんにやってもらう……」
 まだ眠そうな眞子の様子に、眞也はやれやれ、と思いながらも眞子の代わりトーストにマーマレードを塗っていく。過干渉は子育ての上であまりいいことではないのだが、やはり可愛い妹のこと、どうしてもかまってやりたくなる。
 眞子がのろのろとした動作でトーストをかじり始めたのを確認した眞也は、電話をするために立ち上がった。
「ふぁ……お兄ちゃん、どこ行くの?」
「ちょっと電話してくる。眞子は食べてろよ」
どうせ向こうはまだ寝ているのだろうが、こちらにはそんな都合は関係ない。この貧困状態をどうにかするためには相手への配慮はしなくてもいい。
 受話器を取り上げ、暗記している番号を押す。電話からはしばらく無音が続いたが、やがて呼び出し音が鳴らないままに唐突に向こうが電話にでた。
「やっぴー! 電話すんのおっせーよ! だいぶ待ったぜ!」
「どうも、です、玖珂さん……」
 電話相手――玖珂の予想外のテンションに意表を突かれながらも、眞也は用件を切り出す。
「玖珂さん。昨日の仕事ですけど、片付きました。次の仕事をお願いします」
「おう、相変わらず手がはえーな。おっけー、次の仕事な。まず眞也。タンク山ってあるだろ? あそこのふもとにあるちょっとした大屋敷があるんだよ。そこの一家をちょっくらやってきて欲しい。眞子のほうは――っと」
 向こうで何かを探すような音がしてから、
「あったあった。えっと、廃校前の学校に生徒がこもってるから、それをどうにかしてくれ、だってさ」
「わかりました」
「わかりましたってな……随分あっさりと受け持つな。そんな貧乏だっけか? お前ら」
 ええ、そうですよ貧乏ですとも――眞也は言い返してやりたかったが、それを何とか押さえ込む。代わりに、いつもの定型句で返答することにした。
「僕たちは、人を殺せれば、それでいいですよ。殺人鬼ですから」
「………………」
 無言の返答。眞也はそれを受け入れて、黙っていたが、やがて受話器のほうから、「だろーよ」という答えがあった。玖珂にその場所までの地図をファックスで送らせる約束を取り付けると、眞也は受話器を置いた。
 そう――自分は殺人鬼だ。人を殺すことに意味がある。人を殺すことに意義がある。それが自分の存在理由だ。人を殺さなければ価値がない。人を殺さなければ意味がない。生きるために殺すのではない。殺すために生きるのだ。だが今のように、金銭のため、殺す相手を指定されることもある。眞也にとっては不本意だった。目的と手段が逆転してしまっている。
「……それでも」
 殺さなければいけない。生きるためには殺さなければいけない。殺すためには生きなければならない。だから、榊眞也は殺す。生きるために。そして、殺すために。
 ◇
「お兄ちゃん、速く行こっ!」
「そんな急がなくてもいいだろ。相手は逃げないよ」
 逃がさないの間違いだけれども、と眞也は付け加える。二人はよくよく街中にいるようなストリート系のファッションに身を包んでいる。本来なら二人とも学校に行く時間帯なので、できる限り目立たない服装を心がけている。
「ほら眞子、地図。落とすなよ」
「うん……お兄ちゃんと別々だと寂しいよー」
「今日は仕方ないだろ。後で何か奢ってあげるから」
 眞也の言葉に、眞子は仕方がなさそうにうん、と頷く。ショートカットの髪が揺れる。
「じゃ、眞子、終わったらここで。着替えはさっき渡したバックの中だから。頑張ってこいよ」
「うん! お兄ちゃんも頑張ってね!」
 二人の殺人鬼は、逆方向へと歩き始めた。
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テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

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