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木崎任、病院にて①
執筆時期:2008年ごろ
一章:ただの骨折でも痛いものは痛いのだ
二章:美少女のいる病院は楽園だ、と神は申された


 今日も朝の回診が終わり、勉強に勤しむ一日が始まる。俺は来年の一月にセンター試験を控える身なのであり、本来なら予備校に通ってより勉強三昧の生活を送っているはずなのだ。
「うあっつ、あたたたたたたた!」
 ケンシロウのように叫びながら、ギプスで固められた膝を押さえる。いや、一人部屋で良かったと思うよ本当に。
 さかのぼること一週間、俺は予備校の帰り道、ふとコンビニによった。その日発売だった雑誌を立ち読みしていると、そこへ缶ビールを積んだ大型トラックが思いっきり突っ込んできて、んまあ、両脚骨折して今こうやって入院しているわけだ。
 予備校には通えなくなったので、今はこうやって自分で勉強しているっているわけ。ただ、予備校の知り合いも誰もお見舞いにこねーんだからアレだよなあ。
「……暇だなあ」
 センターまでには退院できるらしいけど。クリスマスまでが出られないってなあ。……いや、彼女いないけど。あーでも単純骨折らしいからちゃんとくっつけば歩けるようになるらしいけど。いや、今でも松葉杖あれば歩けるんだけどね?
 ……さて、もう少し勉強しますか。

◆       ◆

 昼食後二時間ほど勉強して、とりあえずの息抜きとして、売店までジュースを買いに行くことにした。松葉杖をついてよっこらせー、とっこらせー、とエレベーターまで。途中誰も乗らなかったので、まっすぐ一階までご到着。
 売店は食堂の隣にひっそりとある。反対側は緊急外来の搬入口になっているから、まあ、忙しい同士をくっつけたのだろう。ここのところ一週間でわかったことは、売店のおばちゃんはいい人だということ。俺はしてもらったことは無いが、長くいる人なんかはサービスしてもらえるらしい。……サービスしてもらえるくらい長くいるわけじゃないが。
 売店は、もちろんのことガムとホットドリンクが店の正面。ありがちだけど、やっぱ売店はこうじゃないとね。
 とりあえず、ほっとりんごとチョコレートを購入。ついで、ピザパン購入。これ、高校の購買にも売ってたよなあ。懐かしー。代金を払い、釣銭を貰い、部屋に戻ることにする。俺が松葉杖で振り返り、エレベーターに向かおうとしたところで、
「きゃ」
「わ」
 俺の後ろに居た女の子にぶつかってしまった。俺は今しがた買った三つを慌てて投げ捨てて、女の子に手を伸ばした。
「ご、ごめん! 大丈夫?」
 女の子が俺の手を取る。
 そこで――俺は初めてその子の顔を見た。
 可愛い子だ、というのが最初の印象。そして、すぐに細部が目に入ってくる。
 入院生活が長いのか、抜けるような白純の肌。逆に、入院しているとは信じられないほどの綺麗な、黒く長い髪。それらが調和しあった、俺が始めてみる美少女。
「っ――」
 思わず息を呑む。
「……ごめんなさい」
 その子は頭を下げると、すっと俺が落とした品物へと視線をのばした。そして、店の正面のホットドリンクコーナーとの間で、数回往復させる。なんなんだ? と思っていると、その女の子はあからさまにがっかりした感じで、帰ろうとして俺に背を向けた。
 売店のおばちゃんに目を向けると、「あんたが悪い」といういう意思が、両目に鎮座していた。あれ? ひょっとして俺のせい?
 しょうがない。追いかけるか。多分、俺の勝ったほっとりんご、最後の一本が欲しかったんだろう。いや、間違いなくそうだろう。ちくしょうガキめ。いくら可愛いとはいっても、あんまりわがままなのはお断りだぞ。
「ねえ! ちょっと待って…ちょ、ま」
 必死で呼び止め、綺麗な黒い髪を振り向かせる。
「これ! コレ、欲しかったんでしょ?」
「いえ、別に……」
 この野郎、俺の厚意とか好意とかを無碍にするってのか。……いや野郎ではないし、悪いのは俺か、この場合。
 俺は適した対応を即決。
「ん――じゃあ、これ、ここに置いてくから」
「え?」
 女の子の顔が驚きと疑問で等分される。いいねー。可愛いね。
「それを拾うのは自由でしょ? そういうことで」
 俺は床にほっとりんごを置くと、松葉杖ながら足早に立ち去った。気障臭くてかなり恥ずかしい。売店のおばちゃんの笑みは、多分、忘れらないだろう。
 ◇
 時間はやや経過して、その日の夜、夕食が終わった後の七時半頃。俺が談話室で参考書を開き、せっせと勉強していると、後ろに誰かが立つ気配を感じて振り向く。さあ誰だ?
「あ、あの、お昼は、ありがとうございました」
 俺は死ぬほど驚いていた。俺がほっとりんごを渡した、あの女の子。超絶美少女。ちなみに美少年でも美少女という意味合いはある。いや、あの、何でこちらにいらっしゃったのでございますでしょうか。
「……よく、俺の顔覚えてたね」
 悪いが俺の顔は素晴らしいくらいのどこにでもいるような浪人生の顔だ。
「それは……」
 女の子は、ちょっとだけうつむく。可愛らしい頬を僅かながら染めながら、
「ナースセンターで、調べてもらいました」
「……あ、そう」
 まあ頭はいいんだろう。それに、俺は松葉杖だから特徴はありまくりだし。そういうことで納得する。
「ん――、で、どうしたの? 俺に、何か用?」
 よし、よく言ったぞ俺。そもそも、これを聞かなきゃいけないだろ。……いや、名前聞けば良かったか?
「あ、あの、わたし、佐田結乃っていいます。それで……」
 女の子――結乃ちゃんは、ポケットから缶コーヒーを取り出した。お、それ、くれるの?
「受験だって、聞いたんで、これ……」
 そういって、俺にコーヒーを渡してくる。俺はそれを恭しく受け取る。美少女からの施しは、神の祝福にも等しきものである――って、いってた同級生が高校の頃いたなあ。
「じゃ、じゃあ、失礼しました」
 そういうと、結乃ちゃんは足早に去っていった。俺の手には、暖かな缶コーヒー。
 ……いただくとしますか。
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