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厳格的殺人鬼社会「吸血鬼食」④
執筆時期:2007年ごろ
その①
その②
その③



 常世は走る。狂ったように。DIVAの元へと向かうために。胸は苦しい。心臓が破れそうなほどに鳴っている。ここまで運動したのは本当に久しぶりだった。
「はあ、はあ、はああーッ!」
 大きく息を吸い込む。同時に、胸が締め付けられるような痛みを訴えてくる。岸射に言われた、DIVAがいるはずの牢がある。この門を曲げれば、そこに――
 突然の衝撃。一瞬にして、視界が急転、硬い壁に叩きつけられる。転ばされた、と感じる間もなく、短剣を持った男が常世の上に馬乗りになってくる。短剣が薄暗い照明を反射して輝いた。振り下ろされる直前、常世の手が反射的に動いていた。――右手が岸射に与えられたベレッタM92を握り締め、男へと向けていた。
 乾いた発砲音。男の顔の中心、とはいかないが、鼻の脇を貫いた弾丸は、充分に致命傷だった。流れる血をともに、男が倒れてくる。のしかかって来た男を、常世は力任せに押しのける。死体というものは、想像していたよりずっと重かった。
 立ち上がり、男の死体を見下ろす。自分が空けた風穴から、とめどなく血が溢れている。奇妙な感じだが、常世は、人を殺したというのに、まるで罪悪感を感じていなかった。むしろどこか冷めていて――それが当然であったかのような感覚。
「……そうだ、DIVAを」
 暫時そうしていたのか、我に返ると再び走り出す。気づくと、さっき自分を刺そうとしていた短剣をベルトに差し込んでいた。
 とにかく走る。息はもうとっくにできない。目の前がチカチカする。
「そこのお前!」
「止まれ」
 通路の向こうに、二人の男が見えた。こちらに相手の銃口が向いている。突撃銃の類だと判断し、冷静にベレッタで狙いをつける。狙いは男の眉間。発砲は同時だった。常世の放った九ミリパラベラム弾は左の男の眉間を正確に打ち抜き、右の男がばら撒いた弾丸は常世の右肩を抉った。
 熱を持った痛みを堪え、常世は男の正面にたどりつく。男が銃底を打ち下ろすより早く、男の首を短剣が一撫でし、鮮血を吹き上げた。
 常世は倒れ掛かる男を払いのけると、再び足を進める。DIVAがいるのはすぐそこのはずだ。
「あれ……か……」
『五番執行室』となっている扉を蹴破る。扉は小さいが、中には充分な広さの空間があった。
 周囲を見渡す。辺りには誰もいない。部屋の外で断続的に聞こえる悲鳴と怒号、銃声が部屋の中で反響するだけで、他に音は無い。
 十平方ぐらいの部屋の中心に配置されているのは、物々しい雰囲気のアイアンメイデンだ。その会わせ口から、血が一筋。いや、一筋ではない。気づかなかっただけで、すでに幾筋も幾筋も――何本もの赤い線が、部屋中に走っている。さらにいえば、部屋は無人ではなかった。天井に、五人の男が、架けられていた。五人から流れた血が、床に斑になって広がっていた。
 常世は背中が寒くなるのを感じた。一気に血の気が引いていく。
 ゆっくりと、おぼつかない足取りで、鉄の処女へと歩み寄る。手をかけると、予想に反して合わせ目は簡単に開いた。感触からして、何かが入っているのは明白だった。
「…………っ」
 一気に蝶番を開く。
 中から倒れてきた人型を、常世は受け止めた。
 血塗れになった小さな体。
 原型をとどめぬほどにグズグズになった肉体。
 心臓とか脳とか関係のない惨状。
 世界に静寂が満ちていく。
『それ』が、僅かに蠢いた。
「とこ……せ……」
『それ』が言葉を発した。血の海の中で、口の部分が僅かに動くのがわかった。腰まであった豊かなブロンドまでもが、朱に染まっている。
「助けに、きたの?」
 切れ切れの言葉に、常世は差し含んだ。
「助けにきたよ、DIVA――」
 常世は血でぐしょ濡れになるのも構わず、DIVAを強く抱きしめた。いつもの、壊れてしまいそうななよやかな体。
「ごめん、ね……私、たぶん、しぬ、わ」
「そんなわけない。ぼくが助ける」
 助けられるアテなんてない。だが、そんな言葉が自然に出た。常世は首をDIVAに差し出した。
「ぼくの血を吸ってくれ。そうすれば、少しは動けるはずだ」
「あ……う」
 DIVAはひどく緩慢な動作で常世の首噛み付いた。いつもと違い、ゆっくりと牙が食い込んでくる。ずるずると血が啜られていき、常識外の快感に意識が飛びそうになる。
 常世の耳には、DIVAが血を飲む音だけが聞こえてくる。外の音も聞こえない。たっぷり三十分はそうしていたのか、それとも三十年か、DIVAが血を吸う気力も尽きて、常世に身を預けて崩れる。常世はそれをしかと抱きしめ、まだ血塗れの唇にそっとくちづけた。自分の血も舐めとりながら、DIVAの口の中をゆっくりと愛撫する。唇を離すと、二人の間を血の珠が引いた。
「好きだよ」
「私も。大好き」
 常世たちが再び唇を合わせようとした瞬間、DIVAの目が見開かれた。常世は瞬時に背後に目をやり、そこにたっていた六人の男を発見した。
「いたぞ!」
「逃がすな!」
 男達の叫びとともに、常世はDIVAを抱きかかえ壁に向け転がった。間を空けず、元居た場所に突撃銃の弾丸が雲霞のごとく襲来し、床を蜂の巣にした。常世の足の一部は弾幕に巻き込まれ、左足のつま先が細切れになって吹っ飛んだ。
「うあああああっ!」
「常世!」
 他の場所での暴動を鎮圧し終えたのか、男達は、次々と部屋に入ってきた。手に持つのはカラシニコフ、ソ連人技術者の名を冠した優秀な突撃銃。六人が一列に並び、常世とDIVAに向けて銃を一斉に構える。
 咄嗟に、常世はDIVAを庇うように抱きかかえた。
 発砲。
 転瞬、常世はDIVAの脇に投げ出されていた。DIVAの残っていた力に驚く間もなく、弾丸はあっさりとDIVAの体を引き裂いていった。
「う――」
 DIVAの千切れていく姿が、スローモーションで流れていった。DIVAの腕が、胸が、足が、顔が、腹が、千切れ、弾け、抉られ、血を撒いていく。
 視界が、血で、それ以外のもので、真紅の染まっていく。男達は、常世を無視し、DIVAに攻撃を続ける。
「うわアアああああああああああああああああああアアああああああああああアアああああああああああああああああああああ」
 そこで、無常常世の意識は途切れる。
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テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

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