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厳格的殺人鬼社会「吸血鬼食」③
執筆次期:2007年頃
その①はこちら
その②はこちら



「第十二魔術査問機関です。我々の規則により、この家の探索を行わせていただきます。よろしいですね?」
 常世が恋人であるDIVAをおいて仕事に出ようとした時、玄関でそのように言われた。何故、と反論する間も無く、腹部に衝撃が走るとともに、大仰なほどに後ろへ吹き飛ばされた。呼吸が途絶し、内臓がひっくり返されたかのように気持ち悪い。
「動かないでください。すでに捕縛してありますので無駄です。吸血鬼をかくまっていることも解っています」
 起き上がろうとしたところで、両腕と両脚が動かないことに気づいた。――文字通り捕縛されてしまっている。顔さえ上げられない、見えるのは床だけ。
「奥にいるはずね。行ってきなさい」
 常世に宣告したのと同じ声。その声とともに、常世の周囲を荒々しい足音が進んでいく。
「やめ、ろ……!」
 常世はなんとか声を絞り出すが、周りには到底聞こえない。代わりに近づいてきたのは、常世に散々と宣告をしてきた女の声だった。
「貴方が吸血鬼であるドロレス・イリアッド・ヴァレッドをかくまっていることは解っています。罪状は人間環境法の十七条にあります。簡単に説明しますと、これあから貴方と吸血鬼は我々の監獄であるバビロンに収監されることになります。貴方はいずれ釈放されるでしょうが、吸血鬼は三日以内に処刑されることになります。納得の有無をいわずに、従っていただきます」
「ふざけるな……!」
「ふざけてなどいません。では、連行します」
 奥の地下室からDIVAが現れた。常世が愛して已まない、雪のように白い肌、足元まである緩やかで美しいブロンド。コバルトブルーの美しい瞳。そのDIVAは、汚い襤褸布で身を隠した男たちに引きずられていた。雪白の肌はあちこち擦りむけ、そちらこちらに打撲の跡。
 それはあってはならない姿。
 不死にして無敵、永遠の存在には到底似つかわしくない姿。
「やめろ……!」
 常世の声が呪詛となって空間に満ちる。
「やめろおおおおオオオオオあああああああああああああああああああっ!」
 そこで常世の意識は途切れている。

◆       ◆

 固い床の感触に目を覚ますと、一人の男が横にいた。見たことの無い男だった。
「随分よく寝るなあんた。十三時間は寝てたぜ」
 寝起きで頭が回らないまま、体を起こす。辺りを見渡すと、一見して鉄檻とわかる風景が広がっていた。高い位置にある光を入れるための窓。クリーム色の壁。鋼鉄製だと思われる檻。そして、檻全体に巻かれた鉄条網。しかも、鉄条網はあちらこちらが錆びており、まだ乾いていない血がついているものもあった。
「でもま、お前運いいな。来て早々アレなんだけど、出れるぜ、お前」
 男がやけに親しげに話しかけてくる。常世は警戒しつつも、男に目を向ける。
「……誰?」
「割と失礼な奴だなお前」
 男は咳払いを一つ。何故かその場に正座しなおしてから、
「俺は玖田岸射。かれこれ十年以上はここにいるが、そろそろ出られる。それで、お前は?」
「あっと、ぼくは、無常常世。聞きたいことは何個かあるんだけども――」
「おお何でも聞け。ここのことなら何でも知ってるぜ」
 岸射は足を崩し、自分の膝を音を立てて叩いた。囚人服らしき灰色の衣服から乾いた音が響く。常世も改めて自分の身なりを見たが、朝、捕まったときのままだった。
「……朝? 捕まった? 自分が?」
 すぐに、頭がDIVAのことに思い至る。傷だらけのDIVA。常世の至宝。
「……DIVAは」
「なに?」
「DIVAはどこだあっ!」
 自分でも驚くくらいの大声を出しながら、岸射に掴みかかる。いや、掴みかかろうとしたところでよけられて顔から床にいった。かなり痛い。
「DIVAってお前――アレか? 不死にして最高の吸血鬼、『歌姫』DIVAのことか? お前アレと知り合いなわけか?」
 起き上がると、岸射の驚きで埋まった顔があった。条件反射的なレベルで反論する。
「アレっていうな。DIVAはDIVAだ」
「あーそう。はー……。お前みたいなのがあのDIVAに気に入られたってのか……なんでか全くわからん」
 岸射は首を捻りつつ、首関節の骨を二、三度鳴らした。
「それで、DIVAは今どこ?」
 再度質問する。何よりもそれが大事だ。
「多分、こことは違う特別な独房だな。最強の吸血鬼を捕まえとくんだから、多分空間ごと遮断したところに放り込まれてるな。それとも――」
 岸射は、答えながら、壁掛けの時計を見た。常世もつられるようにしてそれを見ると、時刻は十二時半だった。
「即日処刑かもしれねえな。空間遮断系の独房は使うのに時間がかかりすぎるからな」
「処刑……」
 言葉の響きに、愕然となる。DIVAが、処刑される。信じられない。あの、DIVAが。
「安心しろよ無常。助けたければ、助けろ」
 岸射は、そういいながら立ち上がる。その岸射の周囲に、青白いネズミくらいのサイズのものが漂っていた。
「それって、どういう――」
「そのままの意味だ。今日の十二時三十二分に、この牢は襲撃される」
 常世は、慌ててもう一度時計を見た。あと三分あるかないか。
「お前の聞きたいだろうことを全部説明しといていやると、ここは、魔術師のための監獄、通称バビロン。魔術師の犯罪者のほか、人間以外の生物を拘束する、魔術査問機関の管理している場所だ」
「魔術査問機関……」
「これやるよ。お前、面白そうだ」
 岸射は座ったままの常世に、腰の後ろから黒い塊を渡して寄こした。雑誌で見たことがある――ベレッタM92とかいう、軍用の拳銃だ。
「助けるなら助けろよ、DIVAってのを。俺も一度、お目にかかりてえもんだ」
「あ、ああ。って、お前、それ」
 岸射は背中からボルトアクション式のライフルを取り出していた。
「ん? ああ、これか。なーに、大したもんじゃねえよ。俺の『ペット』たちが、取ってきてくれるんだよ」
 そういうと、岸射は自分の周りの青白いものを手で掴み、それを常世に差し出してきた。それは、サイズは小さいながらも、狐によく似た姿形をしていた。
「管狐って奴だ」
 岸射はいい、ライフルのボルトを操作して、初弾を装填した。
「時間通りだ」
 岸射が小さく呟くのが聞こえた。同時に、部屋全体が激しく振動した。

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