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厳格的殺人鬼社会「吸血鬼食」②
執筆時期:2007年ごろ。
[READ MORE]からどうぞ。二つの短い章をつなげてあります。
「吸血鬼食」①はこちら
 常世はテーブルに注がれた赤ワインを口に含む。DIVAの勧めであるならば、酒でも断りきれなかった。
「DIVA」
「なに?」
 DIVAとともに夕食のトマト尽くしフルコースを囲んでいたところで、前々から思っていた疑問をぶつけてみることにした。
「君は、不死身で最強の吸血鬼なんだよね?」
「そうよ」
 即答だった。DIVAのプライドの高さは、どこか子どもっぽくて、やはり可愛らしい。
「それじゃあさ――今まで、敵とかいなかったの? それに、今も」
「敵ならいたわ、たくさん」
 DIVAは盛られたトマトにフォークを刺し、ゆっくりと口に運ぶ。それを咀嚼して飲み込んでから、言葉を続ける。
「一番面倒だったのは、魔女狩りの時ね。あんなものは、当時のキリスト教徒の性欲が溜まりすぎてたのが問題なんだから」
「そうなの? 初めて聞いたよ」
 常世は思わず身を乗り出した。DIVAの語る話は、語り部の年齢のせいなのか、いつも興味深い。
「魔女狩りって言うのは、キリスト教徒が己の欲望に忠実に働いた社会現象なの。当時魔女として裁かれたのは、裕福な家の夫人に容姿の優れた乙女たち。夫人たちは死後に家の財産を奪われ、乙女たちは『処女は神聖なもの』なんてことにされて、わざわざ強姦してから火あぶりにしたのよ。ジャンヌ・ダルクだってその被害者だし、魔女が箒に乗っているというのも、箒が男性器を象徴していて、それにまたがっているなんて妄想を信じ込んでただけ。この目で見てきたんだから、間違いないわ」
 …………なるほど。手厳しい言い方ではあるが、確かにそれは真実なのだろう。その目で見たといわれては、否定することも叶わない。
「DIVAは、捕まったりしなかったの?」
「私自身は捕まったことはないわ。何度か使い魔とか下僕とかが捕まったりはしたけど、私まで手は伸びてこなかった。それに、そもそも捕まるような『世界』にはほとんどいなかったもの」
「ああ……そっか」
 今現在も、DIVAが住む屋敷は、DIVA自身の影響により、他の空間とは区別された、特別な『世界』とでもいうべきものになっている。常世はたまたまそれに紛れ込んでしまったわけだが、本来なら、人間を含めたほとんどの動物は入り込むことができない。
 そんな中なら、外で起こっていることなんで、まるで関係なかったのだろう。
「でも、そんな昔よりも」
 DIVAはフォークを置いた。
「今現在の、魔術査問機関のほうがやっかいだわ。昔と違って、集団との魔術戦闘に各種族ごとに体系づけられた連携攻撃、ヒトとしての感情を持たない無慈悲な思考。低位の竜族ぐらいなら、彼らは倒してしまうでしょうね」
「……」
 思わず、言葉を失う。DIVAに聞いた話で、竜というのは最上位の生物で、生半可なことでは殺すどころか傷一つ負わせることもできないというのは知っていた。その竜まで殺してしまうのか、人間は。
「人間って怖いな……」
「おそらく、全ての生物がそう思っているでしょうね」
 DIVAの笑いは、どこか楽しそうだった。
 ◆       ◆
 「ねえ常世」
 ベッドの上で本を読んでいたDIVAが、前触れも無く話しかけてきて、常世はパソコンの画面から顔を上げた。開いていたウインドウをまとめて閉じて、DIVAと迎え合わせに椅子を回す。
「どうしたの?」
「人を好きになるって、どういうことだと思う?」
 あまりに脈絡の無い質問だった。そしてその表情が、まるで、吸血鬼なんて関係ない、外見どおりの少女のような問い。
 常世は少し考え、いや考える振りをして、
「自分の存在の一部を、相手に受け渡すってことかな?」
 何年か前考えた、自分なりの答えを返す。
「……もっと、聞かせて」
 DIVAに請われ、思わず顔に焦りがでたかもしれない。顎に手を当て、当時の自分を思い出しながら、答える。
「えっと――なんていうのかな、例えば、誰か好きな人とどこかに出かけるとする。そうすると、その日自分が立てていた予定は後回しにしなきゃいけないわけだ。嫌いな相手だとそんなことしなくないけど、好きな相手なら許せる。自分の自由を制限するわけだから、自分の存在を明け渡す、っていう表現を使ったんだけど」
 気恥ずかしくなって、とりあえず頭をかく。自分は二十年しか生きていない若造で、向こうは数百年を生きた吸血鬼だ。説教ができるほど自分が偉いわけではない。
「面白い考え方ね」
 だが、DIVAは楽しそうに微笑んでいた。まるで、子どもが新たな知識を得たときのように。
「私は、今まで誰かを好きになったことなんてなかったから。人を好きになることなんて、考えたことも無かったわ」
 DIVAは、途中からうつむきながら言うと、ベッドから常世の胸の中へ飛び込んできた。常世は驚きながらも、それをなんとか抱きとめる。
 DIVAの顔が常世の目の前にあった。僅かに濡れたようなまつ毛に、緩やかな弧を描く眉、そして、澄んだ青い目が、常世の目をのぞきこんでいた。
「ねえ、常世は、私のこと好き?」
「――」
 その問いに、常世は息を呑む。
 今までずっと、のばされてきた問い。
「どうなの?」
 深海のような双眸が常世を射抜く。たったそれだけで、常世は金縛りにでもあったように体が動かなくなった。
 DIVAの目を見つめ返す。DIVAに、目を逸らさずに答える。
「ぼくはきみのことがすきだ」
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