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厳格的殺人鬼社会「吸血鬼食」①
執筆時期は2007年頃と推定されます。
[READ MORE]からどうぞ。


 無常常世とDIVAが出会ったのは、三年前のことだ。
 事の発端は、常世が入った大学のサークルが、毎年新入生の歓迎のため山奥のペンションに泊り込む、という風習を持っていたことだ。
 ◇
 辺りは木で埋め尽くされている。道らしい道も無い。天気は快晴、満点の夜空に煌々とと光る満月。月光が森の木々を照らし、奥へ、奥へと影を落とす。
 常世は一人、周囲の景色を見回した。人の気配は全く無い、そのかわりそれ以外の動物の気配はあちらこちらからしすぎる。熊か鹿か狸か狐か。むしろ化かされているならありがたい。
「……これって、迷っちゃったっていうのかな、えーと……遭難? そうなんですよー! ……はあ」
 一人ボケツッコミをしても気分が滅入るだけだった。一時間以上動かし続けている足を休めると、手ごろな木に体を預け、その場に腰を下ろす。
 無常常世は迷っていた。周囲の写真を撮りながらの移動は予想以上に時間がかかり、すっかり周囲から遅れてしまっていた。それに気づかないまま写真を撮り続け、今に至る。自分が遅れたらしい、というのに気づいたのは、持参したデジカメのバッテリーが切れ、サークルで渡されたデジカメを手に取ったときだった。そのデジカメのバッテリーも尽き、気を紛らわす方法もない。
「……死にたくねえなあ」
 今度こそという希望を込めて携帯を開くが、この山に来たときと同じく圏外。そもそも、携帯の電波が入れば遭難するような事態にもおちいらなかっただろう。今思い出せば、先輩たちにもそのことを厳重に注意されたような気もするが、今となっては後の祭りだ。
「歩くか……。はあ」
 常世は腰を上げた。とりあえず夜の間は歩いたほうが安全かもしれない。尻についた木の葉と埃を払って、常世は歩き出した。
 例えば、地獄へ。
 ◇
 常世が再び腕時計を確認した頃には、時間はすでに午前二時をまわっていた。今の時期からすれば、もう二時間もすれば辺りが明るくなってくる時間帯だろう。
 周囲の木々は心なしかさっきよりも深くなってきたような気がする。実際、さっきまではどの木を見ても計画的に選伐されていたのが、今ではほとんど手がつけれておらず、木の表面に触れるとコケのような感触がある。漏れてきていた月の光もほとんど見えない。おかげで何度も足をとられた。
「……ふう」
 常世はため息を一つ。いまどれくらいの高さなのか。山で迷ったときは、川や沢を探して、それに沿っていけばそのうち下山できる、というが、水場どころか水の音一つしない。そのまま足を進める。
 そこから三十分ほど歩いただろうか、少し開けたところに出た。いや、少しではない。突然いきなり広い空間が常世の眼前に広がってきた。
「……でけえ」
 その空間に鎮座しているのは、映画かなにかでしかお目にかかれないような洋館だ。見た感じでは人の住んでいるような気配は無い。人の話し声もしなければ、電気もついていない。洋館は何故かスポットライトでも当てているかのように光っている。
「入れんのかな?」
 山の中に一人というのは心細いし、天気が変わる可能性もある。少なくとも、建物の中ならばある程度雨風は防げるし、気温の変化にも影響されないだろう。誰かいるのかは別だが、いるなら事情を言えばいいだけだ。自然と、常世の足も速まる。
 鉄製の門に鍵はかかっておらず、ところどころに錆びも浮いている。少なくとも、数年単位で手入れはされていないらしい。常世は門を押し開け、家の扉までの長い庭を歩いていく。洋館からの光で、庭の様子がぼんやりと見える。元花壇だったらしい長方形が縦横に広がり、左右には水の流れが止まった噴水らしきものがある。成金か富豪か、どっちが住んでいたにしろ壮大な屋敷であったことがうかがえる。
 扉の前に立ち、呼鈴を鳴らしてみる。音は鳴ったが、中から反応は無い。二、三度鳴らしてみるも、呼鈴の音が鳴り、建物内に響いて、それで終わりだった。試しに扉に手をかけてみたが、予想に反して鍵はかかっていなかった。
「まじか」
 願ってもいない幸運だ。常世は迷わず扉を開ける。木製の扉の軋む音が室内に響き渡る。
 屋敷の中は、窓から入る月光があるばかりで、どこにも灯りはなかった。やはり空き家のようだ。
 常世は少しだけ安心すると、寝床になりそうなところを探すために一歩踏み出した。月明かりがあるから、灯りが無くても不便はしないだろう。
「――お前」
 一歩踏み出したところで、上から声をかけられ、咄嗟に顔を上げる。
 玄関ロビーから伸びる階段から声は聞こえた。
「どうやって入ってきた」
 常世は答えようとするが、口が開かない、いや、体がそもそも動かない。
「どうやって入ってきた、と聞いている」
 闇の中から声は聞こえる。声は女の声――いや、もっと幼い、女というよりは少女のような声。声の主がゆっくりと階段を下りてきて、うっすらと影が見え始める。ゆっくりと階段を下りてくる音。相手は裸足のようで、直に木の上を歩く、ぺたぺたという音が聞こえてくる。 
「答えないのなら――」
 相手が階段を全て下り、の全体の姿が見えた。姿は人型、身長は高くない、精々百四十数センチといったところで、全体の肉付きも人形のように細い。
「殺して、エサにする」
 窓から入る月光が、『それ』の姿をあらわにした。
 流れるような金髪、周囲の闇に溶け込んでいきそうな漆黒のドレス。目は透き通るような青、肌は闇に相反して白く、光っているようにさえ見えた。顔は小さく、本当に人形のようだ。
 一瞬、常世と『それ』は対峙した。
 常世は、『それ』を見た。
『それ』も、常世を見た。
 その一瞬の後に、『それ』が動いた。辺りの闇を引き連れるがごとく身をひらめかせ、常世へと飛び掛ってくる。無論常世もそれをよけようと後ろに下がろうとするが、足がもつれて、尻餅をついてしまう。『それ』が目前に迫る。三メートルも無い。
「うあっ」
『それ』が常世に覆いかぶさった。一瞬、何をされたのかわからなかった。ただ単に、相手が飛び掛ってきた、それだけかのように思えた。
 でも違った。血が出た。首から。
「んぐ……ふう……はっ」
『それ』は――常世に覆いかぶさり、首筋に噛み付いていた。もっといえば、噛み付いて血をすすっていた。
「うあ……」
 それがわかった途端、全身を一斉に寒気が襲う。抵抗すれば充分抜け出せる。向こうの身長は自分より三十センチぐらいは低い。暴れれば。抵抗、すれば――
「んぐ……んぐ……んぐ……」
 できない。
 形容しがたい快感と快楽。馬乗りになっている『それ』の、華奢な白い喉が上下しているのが見える。――不覚にも、一瞬それを、キレイだと、思ってしまった。
「んっぷ、はあ……」
『それ』が、常世の首から口を離した。途端に、全身から快感が去り、逆にどうしようもないほどの虚脱感と倦怠感が襲う。意識が飛びそうなほどに。
「貴方……何?」
『それ』の血染めの唇が動いた。その問いが、自分に向けられていると気づくのに、数瞬必要だった。
「名前は? 貴方は何者? どうやってここに来たの?」
「質問は一つずつにしてくれ……」
 予想外に気の利いた返し方ができたことに、自分でも驚いた。向こうも返答が以外だったのだろう、少しの間言葉に詰まってから、
「私はDIVA。吸血鬼。ここに、少し前から住んでる」
 今度は質問ではなかった。
 ――いわゆる自己紹介だった。
「――貴方は?」
『それ』――DIVAは、常世に向かって、そうたずねた。そして、常世は、薄れてきた意識の中で、答えた。
「僕は――」
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